住宅ローンと家賃が同じなら家を買ったほうが得だと思ってませんか?
家を買うのと借りるのとではどこが違うのかといえば、やはり「自分のモノになるかどうか」これに尽きますよね。住宅ローンを組んできちんと支払いをすれば、完済した時には自分のモノになりますが、家賃を払って借りるのであれば、たとえ支払う金額が同じであっても自分のモノにはならないのです。家賃を払い続けるくらいなら、その分をローンに回した方が…と思われるかもしれません。支払い額が同じなら買う方がお得な気がしますが、実はそうでもないんです。
そもそも、賃貸の家賃と住宅ローンをただ比較するのは無理があります。住宅にはメンテナンスも必要です。また、マンション管理費や固定資産税がかかったり、中にはリフォームが必要となる場合もあるかもしれません。そのため、家賃と住宅ローンを安易に比べるのは危険であるといえるでしょう。
家賃と住宅ローンの比較については他にも問題があります。家賃は現在の状況で払えるかどうか考えればOKです。しかし、住宅ローンであれば10~20年後の状況も考えていかなければなりません。現在の収入を維持できるか、もしくは上がっていくどうかかはわかりませんし、景気の問題なども関わってきますね。支払いのピークにはいくつかありますが、そのうちの一つに子供の学費問題があります。年金の不安も抱えた中、老後の資金も貯金しながらの返済計画はなかなか予想を立てにくいでしょう。また、変動金利にも要注意です。契約時に金利が安いからと借りたローンでも金利が上昇することがありますから、最初は家賃並みの返済額であっても、10~20年後には返済が厳しくなってしまいます。
繰り上げ返済をすればいいと思うかもしれません。支払いのピークであると予想される教育資金確保や、老後の貯金をしながらの子育ての中で繰上げ返済をしていくのはかなり難しいといえるでしょう。実際、繰上げ返済を活用できている人は少ないともいわれています。
通常、ローンは35年で計算される場合がほとんどだと思いますが、これは最長が35年間であるためで、実際には60年から自分の現在の年齢をマイナスした数字で計算をするべきです。なぜなら、ローンを60歳までに支払う計画を立てるためです。60歳になると、ほとんどの方は退職で収入がダウンしてしまいます。引き続きの雇用があった場合でも、収入ダウンの可能性が高いため住宅ローンの返済が難しくなってしまいます。退職金で住宅ローンを完済するという方法もありますが、収入がダウンしてしまう60歳以降のことを考えるなら、やはり手元にはできるだけ現金を残しておきたいものです。余裕のある返済生活を送るためには、ローンは60歳までに完済できるよう計算しましょう。
家賃と住宅ローンを簡単に比較をするのは難しいということがおわかりいただけたでしょうか。住宅ローンの適正な額は、年収の5倍程度であるといわれています。金利や頭金についても十分に考慮する必要があり、月々の支払い金額だけで安易に住宅ローンを検討しないようにしてください。