住宅ローンと自分の年収との関係についてみんなが知りたいこと
住宅ローンの審査では、年収の7倍が借り入れ限度額の上限といわれています。更に、余裕のある返済をするために適正な金額は、一般的に年収の5倍程度といわれているのです。つまり、あなたの年収が600万~700万円とした場合、適正な住宅ローンは3000万円前後だといえるでしょう。他にも、月々のローンの返済額が年収の20~25%という目安を聞いたことがある方もいるかもしれません。これは、ローンの返済額に着目しているわけですから、金利や頭金も計算に入っています。
以前は頭金がなければローンを組めませんでしたが、最近は頭金の必要ないローンもあります。頭金といえば、購入価格の2割程度の現金というのが常識でした。これは金融機関同士の価格競争が行われた結果で、金融機関にとっても大きな利益となる個人向けローンである住宅ローンの頭金をゼロにして、たくさんの顧客を獲得しようというのです。現在、頭金ゼロの住宅ローンというのは当たり前になってきています。ですが、頭金ゼロのローンにもデメリットがあります。頭金を準備しなくてもいいというのは非常に魅力的で、最近はたくさんの人が利用するようになりました。そのため、頭金として使うつもりだった金額を、そのまま購入額に上乗せしようという人も増えています。すると、結果的には「借り過ぎ」になってしまい、ローンを返済できなくなってしまうのです。年収に見合わない住宅ローンを組んでしまうと、60歳までに返しきれない可能性が出てきます。安全な住宅ローンであることの条件のひとつに、60歳までにローンを払い終えてから老後を迎えるということがありますが、住宅ローンを借りすぎてしまうとこれができません。
繰り上げ返済をすればいいと思うかもしれませんが、子供が生まれた場合は多額の教育資金も必要になります。また、年金の不安も抱えた中、更に老後の資金を貯金しながらの繰上げ返済はかなり難しいといえるでしょう。
住宅ローンの返済に無理が出てきた場合、売却を視野に入れる方もいるかもしれません。ですが、頭金ゼロの住宅ローンを利用した場合、売却価格よりもローン残高の方が高くなってしまう可能性が高いのです。なぜなら、物件の時価が買ってから2割程度下がることが多いためで、新築マンションであれば、業者の利益やコストが土地の原価に対して2割程度プラスされています。その2割を買った人が負担しているわけですから、最初に2割の頭金を支払っていれば、売却時にローンの残高を残すことはありませんでした。頭金を支払うということは、売却時にローン残高が残ってしまうというリスクを回避するための手段でもあったのです。
退職金で残りの住宅ローンを一括返済するというアドバイスを受けた方は多いかもしれません。ですが、退職後には大幅な収入ダウンが待っています。再雇用された場合でも、やはり収入ダウンの可能性があるでしょう。手元に少しでもお金を持っておきたい時期に、退職金を全て住宅ローンにつぎ込むのは少々不安ではないでしょうか。また、退職金で住宅ローンが完済できるとも限りません。60歳までに住宅ローンを終わらせるためには、年収と照らし合わせて考える必要があります。住宅ローンは35年で計算されることが多いですが、35年は最長返済期間であるためです。繰り上げ返済の余裕があれば35年でも構いませんが、実際には60年から現在の自分の年齢をマイナスした数字で計算するべきだといえるでしょう。